| 部会長: | 伊藤隆史 |
| 副部会長: | 橋口照人 山崎昌子 |
| 顧問: | 家子正裕 川杉和夫 藤井 聡 和田英夫 |
| 部会員: |
板垣有紀 大村一将 岡本花織 金子 誠 熊野 穣 近藤真樹 下村大樹 竹下享典 徳永尚樹 内藤澄悦 長尾毅彦 早川峰司 藤森祐多 桝谷亮太 松田将門 窓岩清治 森下英理子 森山雅人 八島 望 矢島智志 山﨑 哲 涌井昌俊 |
1. 2023 年 SSC の活動費による APTT-CWA の標準化のための検討:中間報告
松本 智子(天理大学医療学部 臨床検査学科)
2. 凝固反応曲線の機械学習を用いた解析による直接型経口抗凝固薬低濃度を予測する指標の探索
山崎 昌子(千葉大学大学院医学研究院 人工知能(AI)医学)ほか
3. 実臨床のための CWA パラメータの意義の検証
涌井 昌俊(慶應義塾大学医学部 臨床検査医学)
4. 修飾型・応用型 CWA の現状と展望
和田 英夫(三重県立総合医療センター)
1. 救急集中治療領域における抗 Xa 活性を利用したヘパリンモニタリング
早川 峰司(北海道大学病院 救命救急センター)
2. 凝固異常検体における各種 APTT 試薬のアルガトロバンに対する感受性
熊野 穣(国立研究開発法人産業技術総合研究所 健康医工学研究部門)ほか
3. LC-MS/MS による DOACs の血中濃度定量
中川 央充(慶應義塾大学病院 臨床検査科)ほか
● 第20回SSCシンポジウムに凝固線溶検査部会としてプログラム参画する。
● 昨年度からのプロジェクト「活性化凝固時間(ACT) の適切な運用に向けて」の取り組みを継続し、日本集中治療医学会の集中治療臨床工学委員会と共同で、ACT測定マニュアルの作成を進める。
● 昨年度からのプロジェクト「APTTの基準範囲の設定方法と結果の解釈」の取り組みを継続し、サーベイの結果を取りまとめて解析を行う。
● 昨年度からのプロジェクト「クロスミキシングテスト(CMT)の推奨法」の構築に向けての取り組みを継続し、多施設における過去数年間のクロスミキシングテストのデータを後ろ向きに収集して解析する。
● 「凝固検査の試薬間差を考慮したDOACs過量投与の指標」の構築に向けての取り組みを継続し、サーベイの結果を取りまとめて解析を行う。
● 広報活動の一環として、令和6年度は凝固検査検体取扱いに関するガイダンスの第一弾(採血から検査室に運ぶまで)の動画を作成したが、令和7年度は第二弾(検査室での取扱いについて)の動画を作成する。
a)第18回SSCシンポジウム
凝固線溶検査は血栓性疾患の診断、病態評価や治療に必須であることから、血栓性素因部会と協力したより確実な検討やエキスパートコンセンサス作成を目的に、両部会で合同シンポジウムを企画した。
下記セッションで、ヘパリンやアルガトロンバンのモニタリング検査としてのAPTT試薬の薬剤感受性や、特発性血栓症の診断に必要なATおよびPSの健常成人における基準値および病態識別のcut-off値設定について報告され、議論が行われた。
テーマ:凝固線溶検査の標準化と啓発
座長:家子正裕(札幌保健医療大学保健医療学部看護学科)、山崎昌子(千葉大学大学院医学研究院人工知能(AI)医学)
1. 凝固線溶検査部会企画
凝固波形におけるDOACs低濃度を予測する指標の探索(凝固線溶検査部会多施設共同研究):嶋﨑悠斗(千葉大学)山崎昌子(千葉大学大学院医学研究院人工知能(AI)医学)ほか
2. 合同企画
1) ① 未分画ヘパリンに対する各種APTT試薬の感受性:山﨑哲(聖マリアンナ医科大学病院)
1) ② アルガトロバンにおける各種APTT試薬の感受性:熊野穣(国立研究開発法人産業技術総合研究所)
2) 凝固制御因子検査の標準化と周知・啓発―アンチトロンビン(AT),プロテインS(PS)について:内藤澄悦(北海道医療大学病院)
b)ガイドライン・診断基準・共同研究などの成果
部会の共同研究である「DOACs内服症例における凝固関連検査結果の施設間差と臨床判断値への影響の検証」を推進した。APTTやPTおよびその凝固波形解析パラメータに測定装置、試薬や手技に起因する差が認められることおよび機械学習を用いたDOACs低濃度検体を予測するモデルの構築について、第18回SSCシンポジウムにおいて発表し、第46回日本血栓止血学会において発表する。
c)その他の活動
「1. DOACs内服症例における凝固検査値の施設間差および血中濃度との関連、2. APTT試薬のアルガトロバン感受性のin vitro での検証」の研究課題でSSC活動費に応募し、研究実施に向けた倫理申請などの準備を開始した。
● 第19回SSCシンポジウムに凝固線溶検査部会としてプログラム参画する(他部会との合同企画を検討する)
● 昨年度からのプロジェクト「1. DOACs内服症例における凝固検査値の施設間差および血中濃度との関連、2. APTT試薬のアルガトロバン感受性のin vitro での検証」を継続する
● 新プロジェクト「APTTの基準範囲の設定方法と結果の解釈」の標準化を目指す
● 新プロジェクト「クロスミキシングテスト(CMT)の推奨法」の標準化を目指す
● 新プロジェクト「活性化凝固時間(ACT) の推奨法」の標準化を目指す
● 部会活動の成果を広報し、啓発活動を行う
| 部会長: | 山崎昌子 |
| 副部会長: | 橋口照人 長尾毅彦 |
| 部会員: |
家子正裕 伊藤隆史 大村一将 金子誠 川杉和夫 熊野穣 徳永尚樹 内藤澄悦 早川峰司 藤井 聡 藤森祐多 桝谷亮太 松田将門 窓岩清治 森下英理子 矢島智志 山﨑 哲 涌井昌俊 和田英夫 |
a)第17回SSCシンポジウム
第17回SSCシンポジウム(2023年2月18日WEB開催)において血栓性素因部会との合同で「凝固線溶検査標準化の現状と課題」を企画した。後半4演題を担当し、凝固線溶検査標準化の現状と課題について議論した。
1. DOAC 療法における凝固検査の現状と課題
1)DOAC 服用検体の凝固波形解析
藤森祐多(慶応義塾大学病院臨床検査技術室)
凝固線溶検査部会の多施設共同研究検体を用いた検討から、DOAC血中濃度と補正した凝固波形解析指標との相関はエドキサバンとリバーロキサバンで強く、アピキサバンとダビガトランでは弱いか認められないことが報告された。
2)DOAC 療法下での出血リスクの評価と確認試験
大村一将(北海道医療大学歯学部内科学分野)
直接活性化第X因子阻害薬服用患者と正常血漿の希釈プロトロンビン時間に基づく阻害トロンビン生成比率(RITG)は、DOAC療法中に出血を合併した患者で高値を示すことが報告された。RITGは残存凝固能を評価し、出血ハイリスク患者に有用な試験として期待される。
3)DOAC の凝固検査への影響
松田将門(福島県立医科大学保健科学部臨床検査学科)
DOAC服用中の患者の術前スクリーニング検査では、止血能、凝固因子インヒビターやループスアンチ子アグラントが正しく評価されない危険性について、演者の経験症例を基に解説された。
2.日本検査血液学会との連携と取組み
橋口照人(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 血管代謝病態解析学)
日本検査血液学会・血栓止血検査標準化委員会における採血から測定までのプロセスを考慮した検査標準化の活動と、凝固線溶検査部会の「病態と検査値の特性」の観点からの活動の連携により、標準化を基盤とした多角的病態解析を発展させていく重要性が強調された。
b)ガイドライン・診断基準・共同研究などの成果
部会の共同研究である「DOACs内服症例における凝固関連検査結果の施設間差と臨床判断値への影響の検証」における凝固波形解析結果を第45回日本血栓止血学会学術集会およびISTH2023において発表した。
第45回日本血栓止血学会学術集会「直接経口抗凝固薬服用患者の凝固波形解析 ー学術標準化委員会凝固線溶検査部会多施設共同研究ー(口演/ポスター)」
ISTH2023「Correlations between concentrations and anticoagulant effects are different among direct oral anticoagulants administered to patients(ポスター)」
① DOACs内服症例の臨床検体を用いて、凝固検査、凝固波形解析、DOACs血中濃度の追加測定を行い、DOACs血中濃度と関連する指標や施設間差について検討する。
② DOACs内服検体の凝固検査で得られた透光度データを機械学習により解析し、DOACs血中濃度と関連する指標について検討する。
③ 凝固線溶検査標準化の現状について、血栓止血学会ホームページ上で情報発信していく準備を進める。
| 部会長: | 山崎昌子 |
| 副部会長: | 橋口照人 長尾毅彦 |
| 部会員: | 家子正裕 伊藤隆史 川杉和夫 北島勲 田村孝子 徳永尚樹 藤井聡 藤森祐多 松野一彦 森下英理子 矢坂正弘 涌井昌俊 和田英夫 |
1. 令和3年度の活動報告
a)第16回SSCシンポジウム
1)凝固波形解析の進歩〜検査室から迫る病態へのアプローチ〜
2)DOACs投与患者検体における新規希釈PT試薬の有用性検討
3)外注検査のピットフォール
4)Thrombosis in myeloproliferative neoplasms
b)ガイドライン・診断基準・共同研究などの成果
c)その他の活動
2. 令和4年度の活動計画① DOACs内服症例の臨床検体における凝固検査で得られた透光度データを人工知能により解析し、DOACs血中濃度と関連する指標や施設間差について検討する。 ② 関連学会における凝固線溶検査の標準化に関する活動や凝固線溶検査に関する最新情報を調査する。
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1. 令和2年度の活動報告a) SSCシンポジウム
第15回SSCシンポジウム(2021年2月27日WEB開催)において、血栓溶解部会との合同で「線溶系の基礎と臨床」を企画し、第二部を担当した。線溶検査は血栓性および出血性疾患の病態解明と治療の進歩に必要で、検査の確立と標準化は重要な課題であることが再認識された。
1.長尾毅彦先生(日本医科大学多摩永山病院 脳神経内科)は、「CAT (cancer-associated thrombosis) とTrousseau 症候群の定義の異同ーわれわれは誰をトルーソーと呼ぶべきか?ー」において、悪性腫瘍と血栓症の合併に関する用語の現状を解説し、CATの病態解明や治療の発展には定義の統一が必要なことを強調した。 部会活動のテーマである「DOACs内服症例における凝固関連検査結果の施設間差と臨床判断値への影響の検証」の推進に向け、収集した臨床検体を用いた測定と解析の準備を進めた。
2. 令和3年度の活動計画① DOACs内服症例の臨床検体における凝固波形解析の施設間差や、DOACs血中濃度と関連する指標について検討する。 ② 部会の多施設共同研究である「DOACs内服症例における凝固関連検査結果の施設間差と臨床判断値への影響の検証」の解析を進め、凝固関連検査の標準化を目指す。
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1. 令和元年度の活動報告凝固線溶検査部会 部会長 山崎昌子(東京女子医科大学 脳神経内科)
第14回SSCシンポジウム(2020年2月22日開催予定)において、血栓溶解部会との合同シンポジウムを企画し、下記の演題発表を予定した。
1. 線溶機能検査について
2. 線溶療法 up to date
第二部座長:鈴木優子(浜松医科大学 医生理学講座)
1.ROTEM、T-TAS、凝固波形解析と線溶検査への応用の展望
2.代表的な線溶異常の病態と検査
b) ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果
2. 令和2年度の活動計画① 部会の多施設共同研究である「DOACs内服症例における凝固関連検査結果の施設間差と臨床 |
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1. 平成30年度の活動報告a) 第13回SSCシンポジウム
シンポジウムテーマ「止血血栓の臨床を支える検査」
【はじめに】
【各演題の報告】*発表者の敬称略
演題 2.抗凝固薬の凝固波形パラメータへの影響
演題 3.APTT波形による止血能のモニター
演題 4.VKORC1 遺伝子多型の血中ビタミンK濃度とワルファリンコントロールに及ぼす影響
演題 5.大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁置換術前後での末梢血、凝固系の検討
演題 6.遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤の抗凝固作用の評価のための活性化プロテインC活性値測定の試み
【まとめ】
b) ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果
c) その他の活動
2. 令和元年度の活動計画部会の多施設共同研究である「DOACs内服症例における凝固関連検査結果の施設間差と臨床判断値への影響の検証」の成果をまとめる。また、来年度のSSCシンポジウムは血栓溶解部会との合同シンポジウムを計画している。
文責:凝固線溶検査部会 部会長 橋口照人
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1. 平成29年度の活動報告a) 第12回SSCシンポジウム報告
(1) 凝固線溶検査部会
(2) 【はじめに】
(3) 【各演題の報告】*発表者の敬称略
演題 2.直接経口抗凝固薬(DOAC)服用下のプロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の日差変動に影響する要因
演題 3.高齢者になるにつれてD ダイマー値は上昇するのか
演題 4.抗Xa 活性、APTT 波形によるDOAC のモニター
演題 5.心臓外科手術における包括的凝固検査を用いた周術期モニタリング
演題 6.遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤の効果を引き出すにあたって凝固検査は有用か?
(4) 【まとめ】
b) ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果
c) その他の活動
2. 平成30年度の活動計画部会の共同研究である「DOACs内服症例における凝固関連検査結果の施設間差と臨床判断値への影響の検証」の成果と「各施設にて独自に行われた研究」の双方の成果を2018年度のSSCシンポジウムにて発表することとする。
文責:凝固線溶検査部会 部会長 橋口照人
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1. 平成28年度の活動報告平成28年度は目的を「DOACs内服症例における凝固関連検査結果の施設間差と臨床判断値への影響の検証」として、2回の部会を開催して以下の内容について検討した。
平成28年度 第1回 SSC委員会 凝固線溶検査部会 2016年度活動計画(概案) (1) 2015年度のSSCにて本部会として区切りの発表を行ったので、今年度は部会活動に力を入れることとして発表はスキップする。 (2) 今年度も本部会のテーマは「DOACs内服における凝固関連検査の検討」として、その目的を「DOACs内服症例における凝固関連検査結果の施設間差と臨床判断値への影響の検証」とする。 (3) 活動費として、学会が設けている「研究促進費」を申請する。 (4) 活動は、テーマと目的を主眼として「部会全体が協力して行う研究」と「各施設にて独自に行う研究」の2本柱とする。 (5) 「部会全体が協力して行う研究」は平成15年度までの研究成果を基盤に発展させることとする。 (6) 「検体入手施設」にて得られたDOACs内服患者の匿名化された血漿検体を共同研究施設に送付して検討項目を測定する。その際、標準血漿を同時に送付する。 (7) 「家子正裕、他:凝固検査用サンプル取扱い標準化に関する提言」を取り入れた遵守した研究とする。 (8) 鹿児島大学にて倫理委員会の承認を得た上で各施設に倫理委員会への申請・承認をお願いする。 (9) 2016年度中にデータを揃えて、2017年度に検討すべき課題を見つける。 (10)2017年度のSSCにおいては、「部会の共同研究として行われた研究」と「各施設にて独自に行われた研究」の双方の発表を行う。 平成28年度 第2回 SSC委員会 凝固線溶検査部会 野村コンファレンスプラザ日本橋 5階 ミーティングルーム5 検討項目 (1) 2017年度のSSCシンポジウムにおいては、「部会の共同研究として行われた研究」と「各施設にて独自に行われた研究」の双方の発表を行うことの確認をして了承された。 (2) 「部会の共同研究」についての経過報告 2.倫理委員会について 3.研究に関する保険加入について 4.「凝固検査検体取扱いに関するコンセンサス」についての各施設への調査と実務担当者について、本コンセンサスに記載されている全ての項目を記載したエクセルファイルを代表研究機関より送付するので、各施設にて調査の上記載していただくこととした。
5.標準血漿について
6.トロンビン阻害薬濃度、第Xa因子活性阻害薬濃度について
7.症例報告書について
8.データの公表について |
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2. 平成29年度の活動計画部会の共同研究である「DOACs内服症例における凝固関連検査結果の施設間差と臨床判断値への影響の検証」の成果と「各施設にて独自に行われた研究」の双方の成果を2017年度のSSCシンポジウムにて発表することとする。
文責:凝固線溶検査部会 部会長 橋口照人
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| 1 | 今年度の活動報告
a) SSCシンポジウムの内容
演題1:添加血漿を用いたDOACsの凝固系検査への影響に関する検討(慶応義塾大学 藤森祐多) ダビガトランではFIB比およびAPTT、リバーロキサバンではPTに出血危険域のチェック検査としての有用性が示唆された。一方で、アピキサバンやエドキサバンは、変化が比較的小さく、チェック検査として用いるのは困難であり、それぞれの施設で使用している試薬の特性を理解し、凝固検査の結果をもとに適切に評価を行う必要がある。 演題2:ダビガトラン新規導入患者の凝固線溶血小板検査(鹿児島大学 伊藤隆史) ダビガトラン服用一週間後には、ダビガトラン血漿中濃度がトラフにおいても約50 ng/mL程度に維持されていたが個人差が大きかった。また、同一施設、同一試薬で検討するとAPTTはダビガトラン濃度と相関が高く 、一定程度の指標となりうる可能性が示唆された。服用前後のT-TAS閉塞時間の変化量は、APTT変化量と比べダビガトランの効果をより反映している可能性が考えられ、血小板機能低下例、高齢者、貧血例、腎機能低下例などではAPTTに比してT-TAS閉塞時間が延長する傾向が認められた。 演題3:3種の経口Xa阻害薬モニタリングの比較(北海道大学 松野一彦) rivaroxabanおよびedoxaban服用検体では濃度依存性にPTは延長し、APTTにても軽度の延長がみられた。これに対し、apixaban服用検体では感受性の低い試薬ではPTの明らかな延長はなく、APTTでは延長は認めなかった。3種の経口Xa阻害薬のモニタリングにはcalibrated chromogenic assayが高精度で優れていた。凝固スクリーニング検査では、PT測定が推奨されているが、試薬間差が大きいため感受性の高いPT試薬を用いることが望ましい。 演題4:エドキサバン(EX)のPT、APTT、TGAに対する影響(帝京大学 川杉和夫) 健常人に通常量のEXを投与し、その前後においてPT、APTT、TGAを測定し、凝固系に対する影響を検討した。EXの投与後ではPT、APTTともに延長し、そのピークは2時間の平均値が最大であった。また、EXと RXでは、PT試薬に対する反応に若干差が認められた。TGAの結果では、トロンビンの産生は服薬後より抑制され、その程度は弱くなるものの服薬後 24 時間においても持続していた。 演題5:リバーロキサバンが血中アンチトロンビン、プロテインC、プロテインS活性値に与える影響および試薬間比較(金沢大学 關谷 暁子、森下英理子) リバーロキサバン内服開始前、内服開始から2週間後、3~8週間後の3ポイントで採血した検体合計21検体を用いた。PT, APTTはともにリバーロキサバン濃度に依存して有意に延長し、ATのトロンビン阻害活性とFXa阻害活性は、トロンビン阻害活性がリバーロキサバンの影響を全く受けなかったのに対し、FXa阻害活性はリバーロキサバン濃度と有意な正の相関を示した。凝固時間法3試薬によるPC活性値は、いずれもリバーロキサバン濃度と若干の正の相関を示し、PS活性値は、いずれもリバーロキサバン濃度と正の相関を示した。 演題6:直接経口抗凝固薬服用下のプロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間の試薬間および施設間比較(東京女子医科大学 山崎昌子) 凝固線溶検査部会4施設で同一検体を用いてPT、APTTとフィブリノゲンを測定し、検査試薬間および施設間の相関を検討した。PT とフィブリノゲン は、ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバンのいずれを服用している検体においても、異なる試薬および施設間で強い相関が認められた。APTTの相関はPTやFbg よりも弱く、APTTが延長している検体やリバーロキサバン服用検体における相関が弱かった。ダビガトランとリバーロキサバンの血中濃度はいずれの施設においてもAPTTおよびPTと正の相関を示したが、回帰直線には試薬および施設間で相違が認められた。 演題7:DOACに対する血液凝固検査の使い方(オーバービュー)北島勲 (富山大学医学薬学研究部 臨床分子病態検査) 4年間の各部会員の研究総括をまとめ、現時点におけるDOACの凝固検査は原則トラフ時で評価する意義等のオーバービューを行った。 b)その他の活動:特になし。 |
| 2 | 来年度の活動計画 平成27年度3月末で、部会長の任期が終了し、平成28年度より新体制(橋口照人部会長、森下英恵理子副部会長、山崎昌子副部会長)の下で新プロジェクトが開始される計画である。 |
| 1 | 第9回SSCシンポジウム(2015年2月28日)において、凝固系/抗凝固療法部会との共同シンポジウムを開催した。「適切な抗凝固療法/モニター法と希少出血性疾患」を共通テーマとして、凝固系/抗凝固療法部会長 和田英夫先生、凝固線溶検査部会長 北島勲が座長を務めた。凝固線溶部会からは以下の2題を発表した。
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| 2 | NOACモニタリングに関する検討
①検体交換プロジェクトの進捗状況について:東京女子医科大学神経内科(山崎先生)にて、非弁膜性心房細動患者のNOACs服用経時的採血を実施し凝固検査を行った(38症例、東京女子医大でPT, APTT, フィブリノゲン測定)。同時に冷凍保存された検体を、富山大学検査部(北島)に送付し、富山大学で再度、連結可能匿名化にした。富山大学検査部でヘモクロット法により血中ダビガトラン濃度、PT、APTT、フィブリノゲン測定を行った(平成26年11月測定終了)。さらに富山大学から九州医療センター(矢坂先生)へ検体を送付し、PT、APTT、フィブリノゲンを測定(平成27年1月測定終了)し、残余検体と結果を東京女子医科大学(山崎先生)に返却した。現在、東京女子医大で解析中である。結果は第10回SSCシンポジウムで発表予定。
② 各委員の施設で検体解析が進められている。NOACによる消化管出血事象と血液凝固検査、整形外科手術後のエドキサバン短期使用前後の血液凝固評価、脳梗塞後のダビガトラン服薬フォローと凝固検査等が検討されている。このような検体に関して、受け入れ可能な施設間で検体を交換し解析を行う。
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| 3 | 今後の計画
第10回SSCシンポジウム(2016年2月)では、シンポジウムを担当する予定である。NOACモニタリングに関する一定の見解(いつの採血が望ましいか。各NOACに対する推奨できる検査とその試薬感受性。結果の解析方法等)を示す予定である。
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| 文責 日本血栓止血学会 学術標準化委員会 凝固線溶検査部会 部会長 富山大学大学院医学薬学研究部臨床分子病態検査学講座 北島 勲 |
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| 1 | 委員会は平成25年6月1日と平成26年2月22日の2回開催された。各部員の活動状況についての報告と NOAC モニタリングに関する全体での取り組み進行状況につき議論が行われた。
○第2回SSC凝固線溶部会検査部会議事録
○第3回 SSC凝固線溶検査部会議議事録
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| 2 | 第8回SSC シンポジウムにおいて、「新規経口抗凝固薬 NOAC モニタリング検査の可能性と標準化に向けて」のテーマでシンポジウムを担当した。各部員の施設における検討結果を発表した内容で、97名の参加があり質疑応答も活発に行われ盛会に終了した。
【第8回SSCシンポジウムプログラム】
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| 3 | NOAC モニタリング標準化に向けての取り組み
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| 4 | 平成26年度活動発表としては、凝固系・抗凝固療法部会と協力してシンポジウムの参加を検討してゆく。 | ||||||||||||||||||||
| 2012年7月 | |||||||||
| 部会長(北島)、副部会長(橋口、森下)が就任し、新体制で活動開始。 | |||||||||
| 2012年8月 | |||||||||
| 部会活動目標の設定「新規経口抗凝固薬の出血事象等に関するチェック検査の探索、とくに試薬、検査機器間の評価を重点的に行う」 研究内容に関し、まず倫理審査を富山大学で申請した。 |
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| 2012年9月 | |||||||||
| 目標に承認が得られた部員の選出 | |||||||||
| 2012年10月 | |||||||||
| 富山大学での倫理審査承認、これを雛形に各参加施設で倫理審査承手続きを開始。 | |||||||||
| 2013年1月12日第1回打ち合わせ会議 | |||||||||
| 場所:東医健保会館4階第2会議室 参加者:北島、森下、橋口、家子、川杉、山崎、長尾、矢坂、藤森(敬称略) |
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